学校検診・仮性近視

学校検診では視力検査を四段階で評価します。

  • A(1.0以上) 視力良好
  • B(0.7-0.9) 一番後ろの席でも黒板の文字をほとんど読める
  • C(0.3-0.6) 一番後ろの席だと黒板の字が読めないが、前方の席だと見える
  • D(0.3未満) 一番前の席に座っても黒板の字が読めない。

学校検診で『要再検査』の用紙をもらったら眼科を受診しましょう。
それは
①視力低下の原因が近視、遠視、乱視か、病気によるものかがわかりません。
②眼鏡が必要かどうかがわかりません。
③仮性近視であれば、点眼治療で視力が回復する可能性があります。

近視とは

通常近視は、成長に伴い、眼球がおおきくなることにより、ピントが網膜より手前に合うことにより生じます。眼球が伸びたら、短くなることはありません。つまり近視は治りません。

正常眼

近視眼

仮性近視(治る近視)とは

まだ小さいお子さんの場合、うまくピント調整が出来ずに、本当は近視ではないのにあたかも近視のように指摘される仮性近視の場合が時々あります。

近くのものを見るときには、眼の中のレンズ(水晶体)がふくらんで厚くなります。この調節は、毛様体筋という筋肉が緊張したりゆるんだりしながらレンズのふくらみ具合を調節しています。本を近づけて読みすぎたり、長時間ゲームをしたりするとこの筋肉が縮んだ状態が続き、レンズが薄くならないために遠くが見えにくくなってしまいます。これを調節緊張といい、仮性近視と呼んでいます。

短期の調節緊張による仮性近視であれば、正しい治療と生活習慣の見直しで回復も可能です。小学校低学年の子供など、低年齢ほど仮性近視の割合が多いとされており、年齢が上がるにつれて、仮性近視の確率は減っていきます。

近視を防ぐにはどうすればよいのでしょうか?

眼球の成長は20歳代まで進むため、それに伴い近視が進行しますが、日常生活が近視進行に影響を与えることがわかってきました。

(1)「正しい姿勢」と「適度な明るさ」で勉強や読書をしましょう。

背筋をきちんと伸ばし、目と本は30cm以上離して読みましょう。
姿勢が悪いと目と本の距離が近くなりすぎたり、左右で目と本の距離に差がでたりするためです。
また、暗いところやバスや電車の中で本を読むのも負担がかかりやすくなり、あまりよくありません。
通常、読書や勉強をするのには300ルクス必要です。これは蛍光灯スタンドで言うと15~20ワットに相当します。

(2)適度に目を休めて運動もしましょう。

長時間、毛様体筋を緊張させたままにすることはよくありません。
肩こりなどと同じで一定の姿勢でじっとしていると筋肉が固くなるように、近業作業などで長時間じっと見つめると毛様体筋が緊張したままになり、それを繰り返すと近視が進行しやすくなってしまいます。
勉強や読書を1時間ぐらいしたら、10分間くらい目を休ませることも必要です。
テレビやパソコンの画面も同様に、適度に目を休めましょう。
携帯型ゲーム機は時間をきめましょう。たとえ一日30分以内であったとしても毎日おこなうとかなりの負担になります。する日としない日を決めて負担をかけすぎないようにしてください。
スマートフォンや携帯用ゲーム機も画面が小さいため、目の負担は少なくありません。
パソコンやデスクワークなどの近業作業のときは、作業中にときどき遠くを見たり、意識的にパチパチまばたきしたり、してみてください。目の疲れもでにくくなります。

(3)遠くを眺めるのも効果があります。屋外へでて運動もしましょう。

雲や遠くの景色や星などを眺めたりすることは近業作業で緊張した毛様体筋を弛緩させ、近視を進みにくくします。
スポーツや散歩などをして体を動かすと、緊張した固くなった毛様体筋や目を動かす外眼筋にも良い影響があります。 運動は近業作業でのストレスを心身共にリラックスさせる効果があります。

通院での治療

(1) ミドリンM点眼
毎日寝る前に、毛様体筋の緊張をとる目薬(ミドリンM)を点眼します。点眼後30分から1時間で毛様体筋の緊張が取れ、その状態が3~4時間続きます。それを毎日繰り返すことで、毛様体筋が緊張しっぱなしにならないようにします。薬が効いている間は近くの物が見にくくなるため、必ず夜寝る前に点眼します。人によっては、しみる等の刺激感がありますが心配ありません。

(2) ワック
ワックという機械を使い、毛様体筋の柔軟体操及び望遠順応を行います。機械をのぞいて両目で遠近感のある写真を見て頂きます。5分間に6枚の写真が入れ替わりますので、お子さんでも飽きずに治療できます。写真が離れたり近づいたりするのを目で追っているうちに、毛様体筋がゆるんだり、縮んだりを繰り返し、緊張が取れ、レンズ(水晶体)も厚みの変化を繰り返して、仮性近視の改善を促します。一度、ご両親も体験して頂くと良いと思います。

どのくらいになれば眼鏡が必要ですか?

「教室の一番後ろから黒板の字を見るのには0.7以上の視力」、「一番前からでも0.3以上の視力が必要」です。また、「普通自動車運転免許証も0.7以上の視力」が必要です。

学童・学生の場合は
  • 裸眼視力0.7以上
    一般的にはまだ眼鏡なしでも大丈夫ですが、必要に応じて眼鏡を使用します。
  • 裸眼視力が0.7未満~0.3以上
    席を前の方にしてもらう必要あり。席が後ろの場合は必要に応じて眼鏡が必要。
  • 裸眼視力0.3以未満
    眼鏡が必要

近視が進むことを恐れて眼鏡をかけさせたがらない方も多いですが、見にくそうに目を細めてばかりいると、よけいな調節力を働かせて近視化を助長させやすいので、そういった場合は適切な眼鏡装用が必要です。

眼科での眼鏡処方は、目の検査をしてから装用練習をおこない問題がないことを確認して眼鏡処方箋を交付します。子供の場合、成長にともなって顔の大きさも度数も変化するため、1~2年ごとに眼鏡枠もレンズも交換しなければならない場合も少なくありません。そのため高価な眼鏡枠は必要なく、壊れにくく安全な物がよいでしょう。眼鏡レンズは軽い物をおすすめします。

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